高コスパVRヘッドセット「DPVR E4」の魅力と実力
DPVR E4は中国のVRメーカーが開発したPC向けのVRヘッドセットで、SteamVRに対応した内蔵トラッキングセンサーを搭載しています。価格は599ドルで、ミドルエンドクラスのVRデバイスとして位置づけられています。今回、このDPVR E4の性能や使い勝手について詳しくレビューします。
まず、DPVR E4の基本スペックですが、重さは285gと非常に軽量です。ヘッドストラップを除いた重量であり、長時間の使用でも疲れにくい設計になっています。また、IPD(瞳孔間距離)の調整はソフトウェア側で行う仕様です。多くのVRヘッドセットではハードウェア側にダイヤルがあり、レンズの幅を調整できますが、DPVR E4ではそれができない点が少し残念です。眼鏡をかけたまま使用できるのは便利なポイントです。
使用感
次に、DPVR E4の使用感についてです。フリップアップ構造が採用されており、ヘッドセットを装着したままでも簡単に上下に動かせるため、ソフトウェアとハードウェアの間をシームレスに行き来することができます。この機能はレースシミュレーションゲームとの相性が非常に良く、ハンドルやアクセルなどのハードウェアを頻繁に操作する際に大変便利です。しかし、ピント合わせが難しく、スイートスポットが狭いと感じました。頭部にフィットする位置を見つけるのに少し手間がかかるかもしれません。
映像とトラッキング性能の評価
DPVR E4は4K120Hzのディスプレイを搭載し、116度の視野角があります。これにより、非常にリアルで美しい映像が楽しめ、没入感が高まります。Rift Sと比較して視野角が広くなっており、より広範な視界が得られる点が優れています。実際にレースシミュレーションゲームをプレイしてみると、実写のレースでヘルメットを被った時の視野角と近く、非常にリアルな体験が可能です。
トラッキング性能も優秀で、インサイドアウト方式を採用しており、ヘッドセットとコントローラーの動きを正確にトラッキングします。レビュー時の環境では問題なく動作しましたが、海外のレビューでは静止状態でスタッタリング問題が発生することが報告されています。レースシミュレーションゲームでは激しい動きが少ないため、トラッキングの問題はあまり感じませんでしたが、アクションゲームなどでは注意が必要かもしれません。
音質と総合評価
DPVR E4の内蔵スピーカーの音質は非常に悪く、ダイソーのUSBスピーカーのような音質でした。そのため、外部ヘッドホンやイヤホンの使用が必須です。ただし、ブラックエディションではこの問題が改善されているとのことなので、音質を重視する方はブラックエディションを検討するのが良いでしょう。
総合的に見ると、DPVR E4は7〜8万円で購入できるVRヘッドセットとして非常にコストパフォーマンスが高いです。120Hz駆動で4Kの美しい映像が楽しめ、軽量で長時間の使用でも疲れにくい点が魅力です。また、フリップアップ構造やインサイドアウトトラッキング方式により、レースシミュレーションゲームとの相性が非常に良いです。ただし、ピント合わせの難しさや内蔵スピーカーの音質など、改善の余地がある点もいくつか見受けられます。とはいえ、総合的には非常に満足度の高い製品と言えるでしょう。シムレーサーにとっては一つの有力な選択肢となるはずです。