中国のシムレーシング製品メーカーであるCONSPITは、新たに自社開発したダイレクトドライブホイールベース「ARESシリーズ」を発表しました。
このシリーズには、10Nmと18Nmのトルクを持つ2つのモデルがあり、特にシムレーシング体験を向上させたい方にとっては気になる新モーター技術で設計されていますので、今回はその技術について解説します。
CONSPITの技術的革新
CONSPITは、シミュレーションレーシング用に特別に設計された高精度のスキューモーターを備えたダイレクトドライブモーターを採用しており、最適化された高性能フォースフィードバックシステムを特徴としています。
これにより、ドライバーはこれまでにないリアルな運転体験を得ることができ、非常に詳細な触覚フィードバックを実現しています。
スキューモーターとは
ポールが意図的にオフセットまたは角度を付けて配置された電動モーターで、このデザインによりコギングを減少させ、スムーズで静かな操作を実現します。また、スキューモーターは低速でより高いトルクを発生させることができるため、より滑らかで精密な操作が可能です。
スキューとは、コギングトルク・トルクリップル対策として、コアもしくは着磁を軸方向に対して斜めになるようにすることです。(英訳:”skew”)
スキューはその名の通り、磁気回路を軸方向に斜めになるように配置することにより、急激な磁束の変化を抑制しコギングトルクやトルクリップルを抑制することです。しかしながら、設計上、トルク定数が犠牲となる、軸方向への推力が発生するため問題となる、など弊害もあります。加えて、製造面ではコストアップにつながります。昨今、PCのスペック向上により、3次元磁場解析が比較的容易に行える環境になっているため、磁場解析でのアプローチ事例も多くなっている技術分野といえます。(モーター開発設計研究室引用:http://motorlab.seesaa.net/article/105276384.html)
公式情報によれば、他社が工業用サーボモーターをそのまま使用するのとは異なり、ARESベースのモーター構造は一から開発され、シムレーシングの特有の要求、すなわちハンドリング、ステアリングレスポンス、安定性に応じて最適化されています。
トルク応答、トルクリップル、コギングトルクといった主観的な感覚に大きく影響を与えるパラメーターが特に最適化され、最も速く、スムーズで正確な触覚応答を実現しています。
市場への影響と競争
CONSPITの新しいダイレクトドライブベースは、シムレーシング市場において大きなインパクトを与える可能性があります。
これまでにかったスキューモーターの技術によって、最近激化しているこのダイレクトドライブ市場でどのように位置づけられるかが注目です。
特に、フォースフィードバックの精度やリアリズムの向上が重要となる最近のシムレーシング界において、ARESシリーズが新しいスタンダートを築き上げることが期待されます。
現在のところ、価格設定や販売戦略に関する具体的な情報は公開されていません。
その他の情報
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